書評

フリーエージェント社会の到来「雇われない生き方」は何を変えるか【書評】


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組織人間から、個人(フリーエージェント)で働く人間へ。2002年に出版された本で、2002年の段階でこの「フリーエージェント社会」について取り上げたのは、正直に凄い事だなーと思いました。私は2012年に読んだのですが、それでも「ちょうど今起こっている事」について書かれている様に感じる本でした。

アメリカの労働人口の4人に1人が、本書で言う「フリーエージェント」という働き方を選んでいるという。フリーエージェントとは、「インターネットを使って、自宅でひとりで働き、組織の庇護を受けることなく自分の知恵だけを頼りに、独立していると同時に社会とつながっているビジネスを築き上げた」人々を指す。フリーエージェントたちが、そういった働き方を選んだ理由、そしてその生活と仕事の実態が詳細に描かれている。著者が1年かけて全米を旅し、大勢のフリーエージェントたちに直接会って調査しているため、机上で練られただけの社会論にはない説得力がある。

本書の著者は、米上院議員の経済政策担当補佐官、労働長官の補佐官、副大統領の首席スピーチライターを務めたのち、フリーエージェントになった経験の持ち主。フリーエージェントの実態調査をといったミクロな視点と、フリーエージェントが社会に与えるインパクトといったマクロな視点からの議論がほどよくミックスされ、社会の大きな潮流をとらえた論述となっている。

「いまの仕事が永続するなどと言える人はどこにもいない。誰もが『臨時』労働者なのだ」というとおり、現代の環境においては、企業に人生すべてを賭けることは難しい。しかし、日々問題にぶつかりながらも、自分らしい働き方を模索しているフリーエージェントたちの「証言」は、本書を生き生きと彩っている。また、成功しているフリーエージェントだけではなく、万年臨時社員として不当に搾取されている層についての論述も詳しい。

日本では、社会のフリーエージェント化に関しては、アメリカに大きく遅れをとっている。しかし、正社員にならない働き方に対する関心は高まりを見せており、一部の業界では、すでにフリーエージェント社会になっている。本書の第5部で描かれているような未来の社会が実現するのも、そう遠い話ではないのかもしれない。

(Amazon.co.jpより引用。)

フリーエージェント社会の到来の感想

気になった所を引用しながら、自分の感想を記します。

フリーエージェントはアメリカ人の労働観を変えはじめている。仕事における「成功」の概念を変化させているのだ。

(中略)

実際、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、数々の心理学的研究の結果から、「満足感は金では買えない」ことが明らかになっている。むしろ、「富を人生の大きな目的と考えている人は、極度の不安や抑鬱に苦しめられるなど、幸福度が全般に低い」という。

(P.85より引用)

私自身人生において「幸福度」というのは非常に重要だと思っています。今の日本は戦後とは違って、もはや先進国で、物質面では非常に豊かです。となると、なおさら「幸福感は重要だよなー」と思います。だから、フリーになることで幸福になれるなら、経済的に昔より苦しくなっても、それで良いのだと思います。

ただ、1点だけフリーになる際に注意した方が良いなと思った事があります。といっても当たり前の事です。それは、フリーでやっていけるだけの力はあるのか?という点です。力が無いままフリーになると、食う為に必死な状態になるわけで、結局「仕事=金」になってしまうのでは無いか?と思います。「自由」「満足感」「やりがい」「幸福」を求めてフリーになったのに、これでは本末転倒だと思います。今まで以上にオーバーワークになり、仕事を選ぶような自由も無く、やりがいも消え、不幸になると思います。

能力無いのに仕事を取ってしまった場合、出来上がる成果物は「しょぼい物」になります。となると、最終的には「価格を下げて対応する」か「仕事を失うか」のどちらかになるわけです。結局フリーを目指すのであれば、ある特定の分野で他の人から当てにされるくらいの能力がないと厳しいのでは?というのが、注意した方が良いと思った事です。

その点さえ「なんとかなるんじゃない?」と思えて、周りの人の了承を得られるのであれば、フリーでOKと思います。まとめると、全ての面を考慮して「幸福」になれるように動けば良いんじゃない?って事です。

第5章 仕事とポートフォリオと分散投資

(P.99ページより引用)

第5章では、仕事を複数もって、リスクをヘッジする事について書かれています。ポートフォリオとか分散投資という言葉でイメージが沸きにくい人は「1つの会社(仕事)に依存する事は、それが無くなったら厳しいのでリスクが高い。よって、複数の仕事を持つ(分散する)事で対応する」という風に考えると良いと思います。

普通の会社員として仕事をしている人は、つまりこの「1つに依存するリスク」に常にさらされている訳です。フリーエージェントの人は、基本的に複数の取引先から収入を得ているので、リスクが分散されるというのが、本書の中で述べられている事です。発想自体は面白く、まあそれもそうかもなと思いました。

ただ、分散するという事はある意味愚策とも言えます。著名な投資家であるバフェット氏は分散投資は無知に対するリスク回避であり、優れた投資家は集中投資を行うと言っています。
また、フリーエージェントは、大企業と比べると弱者な訳でランチェスターの法則的に考えても、分野に特化し、集中する事は大切であると思います。

あと、フリーランスは事業をもっていますが、まあいってみれば個人ですのでスペシャリストかゼネラリストか辺りも関係してくると思います。言い換えると「スペシャリスト=集中」「ゼネラリスト=分散」のイメージですね。

なんか色々と引き合いに出してみましたが、結局どうしたら良いのかは良くわかんないですねw。ただまあフリーになるのは「幸福度」や「満足感」を高める為ですし、結局は自分の心に従ってやりたい様にやるのが良いのかなーと思います。なんとなく「逃げの結論」な感じもしますが、結局、自分が満足できるかは重要なので、この指標で良いのではないかと私は思います。

最後に

この本を読んで「フリーエージェントとして働く」という事について私が出した結論を下記に記します。

結論

「幸福度」が上がるのであれば、フリーエージェントとして働く事はOKである。ただし、フリーエージェントとして働くには「熱意」「能力」は必要となる。一定のレベルの熱意と能力が無い人がフリーになると、逆に「幸福度」は下がる。また「メーカーで新製品の研究開発をしたい!」
というように、フリーエージェントとして働く事が非現実的な分野をやりがいとする人の場合、組織に属する方が幸福に生きれると思う。

全ての人がフリーエージェントになる必要は無いし、なりたい人だけなれば良いのだと思います。「メーカーで新しい商品の研究開発をしたい!」と強く思っている人にとって、フリーエージェントになるというのは非現実的な訳で、「なれそうな業種」で「なりたい人」だけなれば良いのだと思います。

ただし「終身雇用が崩壊する」とか「年金大丈夫?」とか言われているような時代なので、「フリーエージェントにならないと決めた人」もフリーエージェントになれるレベルの能力と友人関係は築いておく方が、安心じゃないかなーと思います。別に異業種交流会にでる必要は無いと思いますけど、色んな人と交流を持つ様にしたり、一生懸命今の仕事に取り組んだり、語学力つけたり、経済の勉強をしたり、自分の価値を高める様になんらかの努力を続けていくのは重要だろうなーと思いました。

2012年現在は、フリーという働き方も少しずつですが浸透してきています。だから、この本を読んでも働き方自体に関して「わーお、びっくり。」と思う様な真新しさを感じる事はあまり無いと思います。ただ、2002年に出版されていることには驚きでしたし、「働き方」を読みながら考えるには良い本でした。会社一筋的な発想だった人は「フリーという働き方もあるんだ。こういう人も増えてるんだ。」という事を知るといういう意味で、読んでみると面白いと思います。

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